遠心ポンプ起動時の吐出バルブ開閉

遠心ポンプ起動時は吐出バルブを閉

遠心ポンプは流量が小さいときに軸動力が小さくなるため、吐出バルブを閉めた状態でポンプを起動することで加速トルク(ポンプ起動トルクとモータトルクの差)が大きくなり、より短時間で定格回転数まで回転速度を上げることができる。
どういうことかというと、ポンプとモータの起動トルクカーブは下図のように書くことができ、モータが生み出すトルクからポンプが回転するために必要なトルクを引いたものが加速トルクとなる。加速時は始動電流という通常時より大きな電流が流れるため、速やかに安定運転点まで加速することが求められる。

遠心ポンプの性能曲線

遠心ポンプは一般的に流量が大きいほど軸動力(BHP)が大きくなる。

  • 吐出バルブ閉で起動した場合
    流量ゼロの状態で回転速度が上がっていき、BHPが一番小さい状態でモータトルクとポンプトルクが釣り合う。
  • 吐出バルブ開で起動した場合
    配管圧損見合いで運転点が決まり、大流量の運転点に向けて回転数が上がっていく。

吐出バルブ開閉時のポンプトルクカーブの違い

青線が吐出バルブ閉で起動した場合、緑線が吐出バルブ開で起動した場合のポンプトルクカーブである。この図から分かるように吐出バルブ開の場合は加速トルクが小さくなり、安定運転点に達するまでの時間が長くなり、モータの起動に不利な条件となる。

吐出バルブ開の場合の問題点

  • モータがオーバーロードする可能性
    配管圧損見合いで流量が流れ、軸動力がモータ定格を上回る可能性がある。
  • 加速トルクが小さくなり、安定運転点に達するまでの時間が大きくなる。